top of page

心を満たす

朝の9時頃のお話です。砂場にいた2歳児のKくんに話し掛けようとした2歳児担当のM先生から、「園長先生、みんな『おやつだよ』って誘ってもなかなかお部屋に入ってくれないので、『おんぶしようか』って誘ってるんですけど、これってモノでつっていることと同じですよね?」と訊かれました。

 「おんぶはみんな大好きだから、『おんぶするよ』って言ったらお部屋に入ってくれるので、これはダメかなといつも思いながら声を掛けているんです。」と言われました。

 「おんぶはモノではなくて、心を満たすことなので、おんぶでお部屋に入ってくれるんならいいと思いますよ。子どもは、先生に声を掛けられてどうしようかなと迷っていて、その時に、おんぶって言われると背中を押されたような気持ちになるんじゃないんですか。」と答えました。

 りんごの花保育園では、子どもの主体性を大切にしているので、「〇〇しなさい。」と言うことは全くありません。どうしたら、子どもが〇〇しようと思ってくれるのか考えながら(悩みながら)、声を掛けます。

 願う通りに動いてくれることもあれば、いろいろ工夫して声を掛けても動いてくれないこともあります。その時は動いてくれなくても、大人が願いながら掛ける言葉はいつか子どもに届き、自分で考えて動いてくれるようになります。

 児童精神科医の佐々木正美先生は、「子どもの甘えを満たすことは、とても大事」だと言われています。モノで満たすのではなく、心を満たすことが大事なのだと思います。

 モノで満たすと、さらにモノの要求が強くなります。最初は小さなお菓子から始まり、それを満たすとだんだん要求は大きくなっていきます。心を満たすと、次の要求は、長い目で見ると、少しずつ小さくなっていきます。自分が愛されている、大事にされていると子ども自身がわかるからです。

 おんぶでお部屋に行くのはモノではなく、心を満たしているのだと思います。だんだんおんぶではなく、自分で歩いてお部屋に行きたくなります。心を満たしてもらった子は、意欲が出て来るからです。

 子育てや保育に正解はないと言いますが、先生達は本当に毎日子どものことを考えて日々悩みながら関わってくれているんだなと改めて思いました。

Recent Posts

See All
救われる

今日は暑かったですね。インフルエンザのように、暑さとともにコロナウイルスもなくなればいいのに・・・。根拠のない期待をすると、失望が大きくなるので、今は専門家の方が言われる通り、人との接触をできるだけ減らすよう自粛したいと思います。...

 
 
 
きっと大丈夫

ゴールデンウィーク初日。例年とは全く違う思いで過ごしました。日本中の人が同じ思いだと思います。空はこんなに晴れてすがすがしいのに、外に出ることさえ憚られます。 長い長いトンネルの中をさまよっているようです。何か悪いことをしたのでしょうか。自分を責めるような気持ちになってしま...

 
 
 
冷静に・・・。

京都大学iPS細胞研究所所長・教授である山中伸弥教授のコロナウイルスに関するホームページにこんな文章が掲載されていました。 「新型コロナウイルスの感染は子供、特に10歳未満では非常に少ないという、インフルエンザとは異なる特徴があります。報道されている範囲では、10歳未満の子...

 
 
 
特集記事
最新記事
アーカイブ
タグから検索
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
bottom of page