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自分の思いを言葉で伝える子を育てる2

昨日のブログの続きになりますが、自分の思いを言葉にして伝えることは難しいことでしょうか。誰もが、自分の考えていることを言葉にして伝え、相手に自分のことをわかってもらったり、一緒に考えたり、気持ちに寄り添ってほしいと願っています。それなのに、なぜ自分の思いを言葉にして伝えることができない子どもがいるのでしょうか。

 子どもの権利条約の中には、子どもは自分の意見や考えを表明する権利があると明確に示されていますが、それを知っている大人はどのくらいいるのでしょうか?子どものくせに、子どもはまだわかっていないから黙っていればいい・・・まだまだ心ない言葉を聞くこともあります。

 保育園でも、自分の思いを言葉にして伝えられずに苦しんでいる子ども達をたくさん見てきました。以前勤めていた保育園の3歳児のAくんは、気に入らないことがあると、部屋のゴミ箱をおもいきり投げていました。それでも怒りが収まらないと、洋服を脱ぎ始めます。どんなに止めても全部洋服を脱ぎ捨てて泣いたり、友達を突き飛ばしたりしました。

 どうしたいのか聞いても、泣きわめくだけでした。0歳から保育園に通っていた3人兄弟の真ん中のAくんは、お母さんが忙しくてほとんど構ってもらえませんでした。仕事に家事に忙しいお母さんは、Aくんの話を聞くことはなく、Aくんに関わる時は、いつも叱る時でした。

 自分を見てほしい、自分の話を聞いてほしいというAくんの心の叫びが、暴言だったり暴力だったり、裸になることだったと思います。Aくんのお母さんがAくんに愛情がなかったわけではありません。忙し過ぎるのと、子どもは叱ればいいという考えがあったからだと思います。

 何度となくお母さんに話をして、Aくんへの関わり方は少しずつ変わっていきましたが、もっとできることはなかったのか胸が痛みます。そんなAくんはもう大学生か社会人になっているでしょう。

 自分の思いを言葉にして伝えられるようになるには、安心できる場所や安心できる人がいて、自分の話を聞いてもらえたという嬉しい経験の積み重ねが必要です。小さい頃から自分の気持ちが伝わって嬉しいという経験をたくさんさせてあげたいと思います。

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