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最後のりんご

 昨日、5歳児のAくんの素敵なエピソードを動画でご紹介しました。今日はもう少し詳しく・・・。


 園庭のりんごの木に1個だけ赤い実が枝に残っていて、ずっと気になっていたのですが、そのままにしていました。もうすぐ花が咲く季節になるので、りんごの実は取った方がいいと思いながら、りんごの花保育園のシンボルみたいな気にもなっていました。


 夕方、担任のM先生が「園長先生、見てください。さっきからりんごを取ろうと、(4歳児)Yくん、Rくん、(5歳児)Aくんの3人でいろいろ工夫しているんですよ。」と教えてくれました。りんごの実は一番高い枝で揺れていて、大人が手を伸ばしても届きません。


 最初カゴを持って来てその上に乗って取ろうとしたそうですが、届かないことに気づいた子ども達は、カゴの上に砂を盛り始めました。砂の上に乗れば届きそうな気がしたのでしょうね。でも全然届かないので、Aくんはスズランテープにフックをつけてりんごを落とそうとしたそうです。


 スズランテープは軽くてなかなかりんごに命中しないので、次に縄跳びの縄を持って来てりんごに当て始めました。その段階でM先生が教えてくれ、ずっと見ていたのですが、なかなか当たりません。


 つい「他の方法を考えたら?」と声を掛けたのですが、Aくんは聞こえないかのようにずっとりんごを狙ってひもを当て続けていました。絶対(!)ムリだと思ったところで、見事りんごに命中し、りんごは地面へ。その瞬間、周りにいた子ども達も先生たちも大歓声を上げました。絶対ムリだと思ったので、ビデオを撮るのをやめてしまい、その瞬間を収めることはできず、残念なことをしました。


 Aくんはりんごを拾い、どうするのかなと見ていると、躊躇なくRくんにりんごを渡しました。「傷がついている」とAくん。「全然大丈夫」とRくん。Rくんは大事そうに洗って、ペーパータオルで拭いて、とっても嬉しそうでした。今年度最後のりんごは真っ赤で、子ども達や私たちの毎日がその中に凝縮されているようでした。


 Aくんの粘り強さと優しさに入園してからの3年間の成長を感じました。私は解決を急いでしまうので、もっと子ども達の試行錯誤や経験を大事にしなくてはと改めて思いました。大事そうに持って帰ったりんごはRくんのお腹の中でしょうか?どんな味がしたか訊いてみたいと思います。

 

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